Krose’s diary

40代 小学生MIXボーイの母 薬剤師の気づいたことをシェアしています。

ビタミンEの働きについて、ふと気になり調べてみました。

今日は別の店舗での仕事でした。
通常は皮膚科、整形外科が多いのですが、
今日は肝臓内科が多い店舗でした。

どちらの店舗でもビタミンE製剤の処方はでますが、
ビタミン剤という処方についてあまり考える機会がなかったのですが、ふと気になり調べてみました。

ビタミンEは、もともと1920~1930年代に不妊のネズミの実験によって発見された脂溶性ビタミンで、別名「トコフェロール」とは、tocos(子どもを産む)、phero(力を与える)、ol(水酸基をもつ化合物の総称)という意味からきているそうです。

ビタミンEの種類

ビタミンEはトコフェロールトコトリエノールの2つに大別されます。

それぞれα、γ、β、δがあります。


不妊因子として見つかったのは、α-トコフェロールのみのようです。妊娠という観点から見るとβ、γ、δ-トコフェロールの3つは働きが非常に低くなります。

しかし現在最も注目されている抗酸化作用は、δがいちばん強く、δ> γ> β>αの順となっているそうです。

トコフェロールトコトリエノールの違い

トコフェロールトコトリエノールの化学構造炭素同士の結合が二重になっているかどうかがトコフェロールトコトリエノールの差です。

二重になっているトコトリエノールのほうが柔軟性があるため細胞膜への侵入が良く、すばやく作用が発揮されます。

トコフェロール:持続性のある作用
トコトリエノール:即効性のある作用

天然と合成品のビタミンEの違いd-α-トコフェロールとdl-α-トコフェロール

ダイエタリーサプリメントでは、天然のビタミンEをd-α-トコフェロール、合成品のビタミンEをdl-α-トコフェロールと表示しています。合成のビタミンEは、安定化をはかるため、抗酸化にはたらく場所(水酸基、下図○部分)に安定させるための物質をつけています。ゆえに合成ビタミンEに抗酸化能力は望めないようです。

医薬品として使われているユベラNとの構造の差をみてみました。

ユベラNの⭐︎マークの場所は水酸基ではなく、ニコチン酸がついているため、抗酸化作用はあまり望めないのかもしれません。

ユベラN

ユベラN(トコフェロールニコチン酸エステル)はコレステロールを低下させたり、末梢血管を広げることで血流を良くし、血管を強くしたり、血管内で血が固まるのを防止する作用があります。

具体的に主に下記の5つの作用があります。

脂質代謝改善作用
微小循環系賦活作用
血管強化作用
血小板凝集抑制作用
血中酸素分圧上昇作用

ユベラNはコレステロール異化・排泄を高めることで総コレステロールを低下させたり、過酸化脂質や中性脂肪(TG)を低下させ、善玉コレステロール(HDL-コレステロール)を高めます。

また末梢血管の平滑筋に作用し血管を広げることで血流を良くしたり、血小板凝集抑制作用といって血管内で血栓ができるのを抑えたり、血管を強くする作用もあります。

抗酸化作用は期待あまりできないようなので、
アンチエイジングには、天然の物からの摂取が好ましいのかもしれません。


ビタミンEの働きと不足症状

ビタミンEの主な働きは抗酸化作用がいわれています。
そのほかの働きは

①脂肪の酸化防止
不足すると
過酸化脂質ができやすい
(老化・シミ・動脈硬化生活習慣病の元凶)
②生体機能調節
(ホルモンバランス、自律神経安定)
不足すると
生理障害・更年期障害
生殖機能の衰え
自律神経失調症
③血行促進
不足すると
肩こり・頭痛・生理痛
関節痛・腰痛・冷え
循環器疾患

ビタミンEの吸収

ビタミンEは食べた後、タンパク質のボール(キロミクロン)に吸収されて運ばれていきます。このときタンパク質不足だと、このボールがつくれずにせっかく摂ったビタミンEが無駄になってしまうおそれが出ます。

また、ビタミンEはあぶらに溶けるので、一緒に食べる脂質の量によって吸収率がちがってきます。

ビタミンEを摂るときは、あぶらやタンパク質もしっかり摂るとしっかり吸収されるようです。

以前読んだ本で、

天然物と、似せて作った化合物とのほんの小さな差で、

人間の体の中で代謝されるにおいては

大きな差になる。

と、あったのを思い出し、さらに納得でした。

人間の身体ってすごいですね。

天然のビタミンEを取りたい場合は
アボカド、アーモンド(最近はスーパーにアーモンドミルクも売ってますね!)、うなぎなどにたくさん含まれています。

食事に積極的に取り入れるとよいですね。

最後まで読んでいただいてありがとうございます。